インターネット陰謀論(3)
2014-08-10
その他
3. 個人のパソコンまで覗かれている?
CNA(コンピュータネットワーク利用)について少し触れたが、個人のパソコンへの監視活動は、スノーデンが告発した以上に、もっと大規模かつ無差別に行われているのではないか。パソコンのハードディスクの中は、名簿とか会議の記録とか行動計画といった機密情報の宝庫であり、諜報機関ならこれを放っておくわけがない。ゆえに、ハードディスクの中を無差別に覗いていくような技術が、すでに開発されている可能性がある。ロボット検索エンジンには、クローラ(Crawler)というプログラムがあり、Web上にある、あらゆるサーバーを周期的に巡回し、そこに保存されている文書や画像から情報を掻き集め、データベース化していく。クローラを、一定のキーワードを拾い出すように設定すれば、すぐにでも監視活動が始められそうではないか。
また、検索エンジンで一度何かの商品を調べると、それに関連した広告が随所に出てくる、という経験をした人は多いであろう。要するに、インターネットユーザーの閲覧履歴は、スポンサー企業らによって常に観察されており、それが記録され、膨大なデータベースとして蓄積されている可能性があるのだ。これによって、企業はその人の消費傾向だけではなく、興味や思想傾向、人脈や特定組織とのつながり、といったことまで把握しているはずである。例えば、娘のところに赤ん坊に関連したDMが届いたので、父親が送り主の会社にクレームしたところ実際に妊娠していたという、笑えない話がある。娘はインターネットで出産や赤ちゃんに関する情報を集めていたために、広告主の方が家族より先に妊娠の事実を知ってしまったのである。
ゆえに、監視めいた活動がすでに行われていると言っても過言ではない。後は、企業がその情報を当局に提供しているかどうかということだが、今回のスノーデンの告発により、その可能性は極めて高いと言わざるを得ない。
閲覧履歴の入手にはcookieが使われているらしいが、筆者はこれに関してある疑念を持っている。筆者の使っていたウィルス対策ソフトでは、以前は毎月1回程度の頻度でcookieが検出されていた。そして、その都度cookieを削除していたのだが、ここ2年ぐらい全く検出されなくなった。バージョンアップやアップデートによって、cookieは脅威として認識されなくなったのか。その一方、閲覧履歴を反映したと思われる広告が現れる頻度は増えているように思われる。スポンサー企業がウィルス対策ソフト会社に対して、cookieをチェックしないようにと要請したのではないか。きわめて怪しげではあるが、ユーザーの全く知らないところで、プログラムが日々書き換えられていることだけは確かなのだ。
このような監視活動は、SNSに対しても行われている。例えば、アイルランドの若者がアメリカに旅行した時、「アメリカを破壊しに来た」とツイートしたところ、突然空港で拘束されたという。全くの冗談だったのですぐに解放されたが、せっかくの楽しい旅行が台無しになってしまったことは言うまでもない。アイルランドにはIRAなどの過激なテロ組織も存在するので、当局の手が伸びたわけだが、些細なつぶやきにまで当局が目を光らせているというのは恐ろしい話である。
今後SNSを利用する人の数がさらに増えていけば、ますます監視の目は厳しくなっていくことだろう。しかし、筆者はSNSをやらないので、ここで言及することは控えたい。ただ、フェイスブックとLINEに関しては、一言だけ触れておこう。
フェイスブックの、公開されているプロフィールだけでなく非公開の個人情報までも、連邦政府、州、地元警察に対して提供していることが明らかとなった。そのため、フェイスブックは、プライベートポリシーに次のような一文を載せた。
「当社は詐欺等の違法活動を防止するため、当社と利用者を『権利と義務の声明』の違反行為から守るために情報共有を行う。これには、他の企業、弁護士、裁判所又は他の政府機関との情報共有が含まれている」
プライベートポリシーが突然改訂されたため非難が湧きおこり、多くの反対署名が寄せられ、州議会でも問題となった。しかし、フェイスブックの社長、マーク・ザッカーバーグは、これらの意見に全く耳を傾けようとはしなかった。フェイスブックは他にも、アカウントが削除できない等、様々な問題で批判の的となっている。
また、最近日本で流行っているLINEは、韓国最大のインターネットサービス会社「ネイバー」の100%子会社であるため、LINEのサーバーはすべて韓国国内にある。そのため、通信内容が韓国国家情報院に洩れている可能性があるということだ。
LINEは日本独自のSNSだと思ってる人がいるが、実は韓国企業傘下にあり、LINEそのものも韓国人技術者の力なしには開発できなかったという。米情報機関のことばかり話題にしてきたが、監視してくるのは何もアメリカに限ったことではない。特に中国や韓国のように外交関係が悪化してくると、それだけ監視やサイバー攻撃のターゲットにされやすくなるのだ。