会社設立
新会社法の施行により、株式会社は資本金1円で、また役員は1名でも、手軽に設立できるようになりました。かつて、資本金1千万円が設立要件とされた時代があったわけですから、それに比べれば、株式会社の信用度も、相対的に低下したことは否めません。
しかし、長く続いた制度の記憶というものは、そう簡単に消えるものではありませんから、今なお、株式会社の信用度は他の追随を許しません。したがって、ある程度の資金力があり、本格的に事業に着手しようとお考えの方は、やはり株式会社を設立しておくに越したことはないでしょう。
また、新会社法により、20種類の機関設計の中から一つを選べるようになり、役員1人の小さな会社から、会計監査人設置の大会社や上場会社まで、様々なパターンの株式会社設立が可能となりました。
新会社法の施行により、新たに有限会社を設立することはできなくなりました。そのため、従来の有限会社は、そのままの会社形態を存続させるか、あるいは株式会社へ変更するかの選択に迫られています。
有限会社を維持することには、メリット・デメリットがあります。すなわち、歴史と伝統ある企業であることを印象づけられるのと同時に、すでに廃止された法人形態の商号から来る古臭いイメージを与えかねません。
その他、有限会社には、役員変更や決算公告の義務がないというメリットもありますが、一方、株式会社に変更した場合、機関設計の自由度というメリットも生まれてきます。
要は、現状維持から脱却し、時代に即応して新たに事業展開していこうという意思と実行力のある会社は、この際、株式会社に組織変更しておいた方がよいのではないでしょうか。
LLC(合同会社)は、新会社法によって創設された新しい法人形態です。LLCの訳語である「有限責任会社」という名前の通り、株式会社同様、出資者は有限責任です。
以下、その特徴を記します。
LLCに適したビジネス
LLCは人を中心とする組織で、あまりたくさんの資本を必要としないビジネスに適している。
デザイナーやIT関連ビジネス、コンサルティング業etc
LLP(有限責任事業組合)は、新会社法の施行より一足早く創設されたものです。LLPの訳語である「有限責任事業組合」という名前の通り、LLPは「法人」ではなく「組合」です。従来民法の組合は無限責任でしたが、株式会社等のメリットである有限責任が認められたLLPは、株式会社と組合のよいとこ取りをした組織だと言えます。
以下、その特徴を記します。
LLPに適したビジネス
新会社法の施行に伴って従来からあった合資会社も新たな脚光を浴びています。株式会社という「名前」にさえこだわらなければ、かなり使い勝手のよい組織と言えるからです。
合資会社は、無限責任社員と有限責任社員から構成されるものですが、株式会社の場合でも、金融機関から融資を受ける際に個人保証することが多いので、実際には無限責任と変わりはないのです。
また、合資会社には、有限責任社員もいるので、経営に一切タッチしない出資者をつのることも可能です。これは、株主と同じ立場ですが、株式会社のような厳格なルールはなく、配当についても自由に取り決めすることができます。
以下、その特徴を記します。
NPO(Non-Profit Organization)は、1998年のNPO法(特定非営利活動推進法)によって誕生した制度ですが、すでに3万以上の団体が認証を受けて活動しています。
NPOというとよく誤解されるのが、非営利活動を目的とするため「儲けてはならない」ということですが、NPOで収益事業を行ってもかまわないのです。但し、剰余利益を関係者に配分してはならず、要は、株主配当のない会社のようなものです。ゆえに、利益追求をそれほど重視しないようなベンチャー企業にも適しています。
以下、その特徴を記します。