新年明けましておめでとうございます。
2011-01-02
外国人
東北地方の山間部では、今でも兎狩りが行われています。狩りと言っても、マタギなどを除いて一般の人々は、罠を仕掛けるだけです。捕まえた獲物は、皮を剥いで一晩酒につけておくと、臭味が取れ柔らかくておいしい肉になるそうです。剥いだ毛皮は自分達の防寒具にしたり、皮革業者に売ったりします。
雪国では、夏の間、野兎の毛は茶色ですが、冬になると全部抜け落ち、真っ白になります。ペット愛好家の目を楽しませる純白の毛並みは、元々狐やイタチなどの天敵から身を守る保護色だったのです。また、兎は、上り坂はピョンピョンと勢いよく駆け上りますが、下り坂は不得手です。これは、後ろ足が長く前足が短いという、身体的特徴によるものです。村人たちは、下り坂を毬のように転げ落ちていく兎の姿をよく見かけ、笑い話の種になるそうです。しかし骨の弱い兎にとって、骨折は命取りになるので、笑い事ではありません。
ところで、明治以来、「坂の上の雲」を目指し、脱兎の如く坂道を駆け上ってきたわが日本人も、そろそろ頂きを越え、ゆるやかな下り坂にさしかかりつつあるようです。成長しか知らぬ日本人は、後ろ足の長い兎にどこか似ていないでしょうか? 成熟社会においては、「兎と亀」の兎のように疾駆を続けることは困難ですし、下手をすれば二兎を追うものは一兎をも得ずということにもなりかねません。今年の干支を反面教師とし、のんびり行きたいものです。
本年も宜しくお願い申し上げます。