バリバラをご存知ですか?
2011-02-07
成年後見
バリバラとは、 バリアフリー・バラエティのことである。NHK教育テレビの福祉番組「きらっといきる」の特別企画で、障害当事者たちがお笑い芸人となって芸を披露するというものである。しかし、その際、自分自身の障害を持ちネタとすることもあるので、かなり過激な内容となっている。以前から注目していたところ、年末には、カンニングの竹山、ザブングルの加藤を迎え、2時間のスペシャル枠で放送された。深夜のお笑い番組で、「あらびき団」というのがあり、これは一般人の素人性を素材としたお笑い番組だが、それをさらに突き抜けたところに、このバリバラがあるような気がする。
自分の障害をネタにするとは具体的にどういうことかと言えば、例えば、この2時間枠で登場した「脳性まひブラザーズ」が挙げられる。
医者と患者のコント
患者:体調が悪いんです。多分、風邪だと思うんですね。
医者:風邪じゃなくて、脳性まひですね。
患者:いやいや、風邪だと思うんですけど。
医者:ちなみに、その症状はいつから?
患者:子どもの頃から。
医者:絶対に脳性まひです。
患者:風邪だと思います。
医者:脳性まひです。
患者:風邪です。
医者:脳性まひです。
患者:風邪。
医者:脳性まひ。
患者:風邪。(大声で)
医者:分かりましたよ。じゃ、胸を見るんで、服を脱いで下さい。
患者:服を脱ぐのに、2時間半かかるんです。
ちなみに、この患者役と医者役は共に脳性まひ者で、二人とも軽い言語障害がある。
障害をネタにするということは、けして珍しいことではない。人権が叫ばれるアメリカでも、プロレスの前座で小人プロレスが今でも行われているし、江戸時代の見世物小屋には障害者がよく登場した。私は今も残る数少ない見世物小屋に行ったことがあるが、興味深かった半面、あまり気持ちのいいものではなかった。本にもなった「障害者プロレス」もそのような流れを汲んでいると言えるだろう。(北山行徳著「無敵のハンディキャップ」)
差別と笑いは、微妙な問題である。お笑い芸人で自分の顔の不細工さをネタにする者がいるが、自己のネガティブな側面を表現手段にするという意味では重なるはずである。しかし、これにあまり無自覚になりすぎても、差別が助長されるといった指摘がなされるであろう。
能や狂言にも障害者を題材にした作品があるし、さらに古代まで遡れば、古事記のイザナギとイザナミの間に生まれた障害児(ヒルコ)がエビスになるといった神話のことも想起されよう。
障害の文化的側面を考察する「障害学」といった学問があるが、障害者のお笑い芸人のこともすでにテーマ化されているのではないか。
とりあえず、今後のバリバラ芸人の活躍を見守っていきたい。