書籍案内 『殿上の杖-明石覚一の生涯-』(花田春兆)
2019-02-25
その他
視覚障害者の相互扶助を目的とした「座」の組織は、座頭市でもお馴染みだが、これを創設したのが、本書の主人公・明石覚一である。また、覚一は、平家琵琶の名手であったが、単なる一演奏家には終わらず、バラバラに伝承されていた平家物語の語り本を、「覚一本」として集大成するといった偉業を成し遂げている。彼は超一流の芸術家であったと同時に、足利尊氏との縁故を活かして、先進的な福祉制度をいちはやく日本に取り入れた、天才政治家でもあったのだ。南北朝動乱のさ中、逞しく、かつ誇り高く生き抜いたスーパー障害者の人生を、現代の明石覚一とも言える著者が、渾身の筆致で描く。
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