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宗男の言い分(歳川 隆雄・二木 啓孝 、飛鳥新社)

2010-09-28
その他
 村木厚子元局長の冤罪が晴れた約1週間前、ある大物代議士の有罪判決が確定された。鈴木宗男氏である。9月7日、最高裁判所は上告を棄却し、それに対し鈴木氏側は異議申し立てを行ったが、9月15日に却下された。そのため、「懲役2年の実刑、追徴金1100万円」の第一審、第二審の判決が確定された。これにより鈴木氏は衆議院議員を失職した。
 そもそも「鈴木宗男事件」とは、一体なんだったのだろうか? 国後島のムネオハウスの建設をめぐる疑惑に端を発し、数々の疑惑が浮かび上がり、ODAをめぐる巨額汚職事件としてマスコミが取り上げ、世間も大騒ぎした。しかし、蓋を開けてみれば、そんなものは何も出てこず、やまりんなどというチンケな事件が一つ残っただけだった。要するに、警察や検察はもっと大きな山があると思い、見込み捜査で逮捕したが、結局それは見つからなかった。しかし、もはや引くに引けなくなっていたため、誰でも叩けば埃が出てくるような些細な事柄を追及し、なんとか有罪まで漕ぎつけた(しかも、虚偽の供述調書を取って)。どうせそんな構図であろう。ライブドアの堀江貴文氏の場合と全く同じである。

 この本は、2002年に刊行されたものだが、歳川隆雄・二木 啓孝という著名なジャーナリストが、鈴木宗男氏に思いのたけを語ってもらっている。二人とも、「鈴木氏の言い分に理あり」というスタンスで、このインタビューに臨んでいる。私も、全くその通りだと思う。
 この本の中で、鈴木氏は、自分は外務省を応援しただけであって、無理矢理自分の意見を押し付けたことは一度もない、と繰り返し述べている。二島先行返還論にしても、当時の外務省ロシアンスクールの主流派の考え方であったことは、東郷和彦氏(「北方領土交渉秘録―失われた五度の機会」 )や佐藤優氏(「国家の罠」)の著書を見てもわかる。
 鈴木宗男事件には話にどんどん尾ひれがついていき、当時は鈴木氏がやったと言えば何でも話題になったと本人も語る。例えば、1996年、桜植樹で国後島を訪問した際、外務省課長補佐に1週間のけがを負わせたことが暴行事件として問題となった。しかしこの時、この課長補佐は、ロシア側が要請していた検疫証明書を持ってくるのを忘れ、上陸を拒否されると、今度は自分のミスを棚に上げ、主権論を持ち出したから怒ったのだという。机を叩いたが、けして手は出していないと語る。またその後、この課長補佐は、異動の際自分のところにわざわざ挨拶に来ているとも述べている。それなのに、宗男パッシングが始まると、急に、暴行を加えたという診断書まで出てくるというのだから恐ろしい。
 また、本書の記載ではないが、大騒動となったピースウイングジャパンの問題について、佐藤優氏は次のように証言している。同代表の大西健丞氏が、新聞に政府に批判的なコメントを載せたため、同NGOが鈴木氏の圧力によりアフガニスタン復興支援会議への出席を拒否されたというが、外務省の職員から「問題のあるNGOは参加させなくてよろしいですか?」と尋ねられた時、鈴木氏は「任せる」とただ一言言っただけだと言う。このシーンを佐藤氏はその場で目撃しており、しかも大西氏が政府に批判的なコメントを寄せたのはこの後のことであった。だから、この記事を読んで、鈴木氏がピースウイングジャパンを排除することなど有り得ないというのだ。

 鈴木氏は、竹下登の教えを忠実に守り、献金は広く浅く集めるのが主義だったと言う。鈴木氏の集金力は派閥の領袖並みで、自民党でもベスト3に入っていたが、それは各地に応援団を作り、そこを通じて多くの人々から献金が寄せられたからだということだ。その応援団の一人に、下地幹郎(国民新党)がいる。
 もちろん、鈴木氏の言い分を何から何まで鵜呑みにするつもりはない。しかし、鈴木氏は、北方領土問題、アフリカ外交、杉原千畝の名誉回復など、今まで誰もやらなかったことに対して、率先して積極的に取り組み、しかも成果を上げてきた。馬力のある政治家であったことには間違いない。だからこそ、佐藤優氏のような優秀な人間が心底尊敬するのだろう。日中関係が緊張を高める中、このような政治家が失われるのは、実に惜しいことだ。


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